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SPECIAL INTERVIEW

竜城詩季と、猟平と、BLVCKBERRYの未来。

思い返せばBLVCKBERRYはプロデューサーである

猟平と竜城詩季の二人で始まった。

そんなBLVCKBERRYの生みの親とも言える二人が

別々の道を行くことになるとは想像もしていなかったが、

これは決して悲しい別れではなく、

お互いの人生を考えて導き出した極めて前向きな決断であると言う。

プロデューサーとメンバーという関係性をこえた絆で

結ばれた二人がどのようにお互いの人生に向き合い、

このような結末に至ったのか。

また、BLVCKBERRYのキーパーソンである竜城詩季を欠いた

5人のBLVCKBERRYの未来をどう見据えているのか、

プロデューサーである猟平本人に話を聞いた。

−まず、しっきーからBLVCKBERRYを卒業したいという旨の

話をされたのはいつ頃だったの?

 

猟平「厳密に言えば、昨年のZepp DiverCityワンマンを終えた後に

辞める/辞めないとまではいかないけれど、

しっきー自身のこれからの未来の話として、

“バンドをちゃんとやりたい”という相談をされていたんだよね。

 

そこにはバンド以外の複合的な理由も付随していて。

ただ、当時は渋公(渋谷公会堂)ワンマンが決まっていたこともあるし、

双方納得の上でこのまま渋公まで駆け抜けようという方向で

話が落ち着いて無事に渋公ワンマンを成功させた、と。」

 

−複合的な理由というのは?

 

「しっきー自身の年齢の話であったり、

彼が置かれているフィールドであったり。

しっきーなりに様々な葛藤を抱えながら

BLVCKBERRYの活動をしていたんだと思う。

 

そこで、今回二周年を迎えるタイミングで

改めて話をする機会があって今回の話をされて。」

 

−ここ数ヶ月の話ではなく約一年前から抱えていた問題だったんだね。

一年前は双方納得の上で6人での活動を継続したわけだけど、

なぜ今回はしっきーの意見を尊重することになったの?

 

「それに関してはこれが本質だと思ってるんだけど、

“BLVCKBERRYとしての未来を見据えた時に、

それを受け入れるタイミングと体制が整ったのが今だったから”

って言えば伝わるかな?」

 

−なるほど。

 

「もちろん、これまでもこれからも“辞めてくれ”

なんて思ったことはないけど、

始動した二年前は“しっきーと仲間達”だったBLVCKBEERYが

Zepp DiverCityを乗り越え、ワンマンツアーを乗り越え、

渋公を乗り越え、メンバーそれぞれが精神的にも肉体的にも成長したことで、

しっかりとした各々の個性が立つグループになれたことが

今回しっきーの意見を尊重しても問題ないなと思えた大きな要因だね。」

 

−たしかに二年前から比べるとメンバー全員別人

っていうくらい成長を感じるもんね。

 

「そうだね。そこに関してもなぜこの二年間でここまで

高いハードルを課したかというと、まだ若くて、

経験値も浅いメンバーがそこに向かうことで物凄いスピードで

伸びていくだろうなと信じていたという面もあって。

 

事実、メンバーは目を見張るほどの速度で成長していったし、

その中でもワンマンツアーを経験して、僕と喧嘩したりもあったけど、

そういう事も含めて舞台の上でも下でも逞しく成長したからこそ、

もう“しっきーと仲間達”ではないよね、と。

 

これはしっきーが上とか下という意味合いではなくね。」

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−親離れならぬ“しっきー離れ”といったところだね。

 

「そもそも年齢の話はBLVCKBERRYが始まる前からあって。

 

なので、BLVCKBERRYを始める前にしっきーが30歳になるまでの道のりで

必ずZeppやホールの規模でコンスタントにライヴができるような

グループにするっていう約束をしたんだよね。

だからこそ、自分の中でもその約束を果たしたと思っていて、

それでもしっきーの気持ちがバンドに向かうので

あればそれは尊重しようと。」

 

−30歳は色々な意味で節目って言うしね。

 

「僕自身30歳でプレイヤーを辞めるという選択をしたから

気持ちはすごく理解できるし、

 

それを包括的に考えた時にグループとしてポジティブなのか、

ネガティブなのかというのを考えて、

今ならポジティブな方向に向かっていけるなと思ったので

最終的には僕がしっきーの背中を押したというのが

今回の一件の顛末になるかな。」

 

−ということは、メンバーの成長がなければ

こうはなってなかったとも言えるし、

逆を言えばメンバーの成長があったからこそお互いにとって

最善の結果として負い目なく別々の道を行くことができるとも言えるわけだ。

 

「脱退とか卒業ってワードは一見ネガティブに聞こえるけど、

今回はそうではないっていうのが大事。

 

というのも、お互いの長い人生の中でもっと飛躍することが

できる確信があるんだよね。

僕は自分自身の中で確信がないことはやらないから。」

 

−さっき最終的には猟平自身が背中を押したって言ってたけど、

どう背中を押したの?

 

「きっとしっきー自身は卒業するタイミングを探りながら

いい塩梅を見つけていこうって感じだったと思うから、

こうなるのは意外だったかもしれないんだけど、

 

今以上のバランスでバンドとBLVCKBERRYを

共存させることの方が上手く行く気がしなかった。

厳密に言えばできないことはないと思うけど。

僕自身エンタメの大変さを知ってるつもりだし、

人間のキャパシティの限界も決まってるし。」

 

−そうだね。

 

「こういう場合、一番良くないのはお互いが枷になることで。

 

無理に並行してやるより自分が本当に命を燃やせるものに

対して朽ち果てるまで立ち向かって、ダメなら散る方がいい。

 

それが僕たちが追いかけているロマンだと思うし。」

 

−互いに一切の甘えを捨てて、退路を断った、と。

 

「このままだとお互いに枷になる可能性の方が高いと思ったし、

同時に5人のBLVCKBERRYというもののビジョンが明確に見えたから、

しっきーには友達として“バンド一本でやった方がいいと思うよ”

って伝えたわけです。」

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−とは言ってもBLVCKBERRYはかねてから

“この6人でなければBLVCKBERRYではない”

と言い続けてきたわけで、そこに関してはどう考えていたの?

 

「もちろんBLVCKBERRYがなくなって

しまうかもしれないという恐怖はあったよ。

でも、これを言い出したのってO-EASTワンマン

(2022年4月)の直前とかだから、

その頃から心境はだいぶ変わっているのも事実かな。」

 

−それはどう変わったの?

 

「“この6人じゃなきゃ”というのは

言ってしまえば内側のエゴでしかなくて、

実際はそんなこと誰も求めてないんじゃないか、と。

 

それはお客さんも、関係者も、会社も、自分自身も、

最終的にはメンバーも求めてないと思う。

その漢気みたいな部分に括りつけたエゴに縛られる必要はないし、

そんなことより腐ってもZeppや渋公をやらせてもらったグループや

音楽を守ることの方が大事だってことに気が付いたんだよね。」

 

−何か心境の変化に至ったきっかけはあったの?

 

「例えばこれまでにメンバー間で衝突があった時とかでも、

いつの間にかメンバー自身がいかにBLVCKBERRYが大事で、

BLVCKBERRYを守るかを考えて発言するようになっていたんだよね。

 

そうなるとそこの責任は最終的な

ジャッジをできる僕が持たなければいけないし、

みんなが大切に思っているBLVCKBERRYを

身勝手なエゴで終わらせてしまうのは違うよなって。」

−さっきのメンバーの成長という話にも繋がるけど、

O-EASTワンマンの頃と今ではメンバーの成長度合いも違うし、

個人的には当時は6人で束になって100%を作っていたのが、

今ではそれぞれが100%を持ち寄って

600%でBLVCKBERRYを形成してる感覚なんだよね。

 

「本当にそうだね。元々BLVCKBERRYはそこを目指していたし、

それぞれのメンバーが個性を持った、

代わりの効かないグループにしたかった。

だから、一人辞めるから一人入れますみたいな

補填の仕方をするつもりは一切ないし、

逆にここから一人ひとりの能力が200に引き上げられて合計で

1000になる可能性の方が高いと思うから、そこは何も不安はない。」

 

−だからこそ“この6人でなければ”というのは、

裏を返せば“それぞれが代わりの効かない存在になろうね”

っていうことなんだよね。

 

「まさしくその通り。」

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−今回の件を受けて、5人とはどういう話をしたの?

 

「まず、今回の件を受けて一人ずつ話さないといけないなと感じたので、

一人当たり3〜4時間かけて全員と話して。

 

その時に状況と未来の展望をセットで話したんだけど、

みんなちゃんと理解してくれたのね。

 

もちろん感情の部分では寂しいし悲しい。

 

でも、感情と状況は別のベクトルだから、

未来の展望を話したときにポジティブに受け止めて、

スムーズに受け入れてくれた。

 

これはこの二年間で築いた信頼関係の賜物だと思う。」

 

−本当にそうだね。

メンバー全員が自分やグループに対して

自信を持ってないとこうは行かないし、

こういう状況でメンバーの成長を感じるのは皮肉ではあるけど、

ここまでメンバーを引き上げたのは紛れもなくしっきーの力だよね。

 

「それは間違いないね。」

 

−猟平にとってしっきーはどんな人間だった?

 

「本当に“良くも悪くも”という言葉が一番似合う人間だと思う(笑)

何においても“良くも悪くも”が強くて、

しっきーの持つメンバーへの影響力は良い方向にも

良くない方向にも作用したことがあるけど、

良い方向に作用した時に発揮する

グループを引っ張る力というのは物凄く強い。

 

それに、やりたい事へ突き進むスピードは人の何倍も速いから、

今回の件でこちらがここでブレーキをかけても

止まらないのも理解していたし、

それが彼のためにもならないだろうなというのわかっていたというのも

今回の決断に至った一つのトリガーでもあったなぁ。」

 

−特に始動当初なんかはしっきーの引っ張る力に

助けられた面が大きかったよね。

 

「ある意味ワンマングループじゃないけど、

とにかくしっきーのパワーで回っていたところが大きいし、

そのしっきーの背中を見てメンバーが良いところを吸収して

現在の形が出来あがっていったわけだしね。」

 

−そういう意味ではチームとして表現したいものを

しっかりと理解してメンバーに落とし込んでくれたり、

お客さんの矢面に立つという役割は非常に助かったし。

 

「今でこそメンバーはすんなり理解してくれるようになったけど、

活動初期ではメンバーはBLVCKBERRYとして

表現したい楽曲であったり衣装であったり、

いわゆる“メンズアイドルらしくないもの”

に対して疑問を持つ人も少なくなくて、

それに対してしっかりと噛み砕いて説明してくれたのはしっきーだし、

ライヴの面でも当初“ライヴがつまらないグループ”と

言われていたBLVCKBERRYを“ライヴが強みのグループ”に

育てたのは間違いなくしっきーの力。

 

だから、ルックもサウンドも“異端”と言われていた

BLVCKBERRYの先頭に立ち続けて、

僕たちなりのスタンダードを示してこれたのは紛れもなく

しっきーのブレない精神のおかげだと思う。」

 

−だからこそしっきーには感謝してるし、

BLVCKBERRYにとって功労者なのは間違いないからこそ、

恩返しではないけれどわがままを聞くということに至った、と。

 

「そうだね。」

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−最後になるけど、お客さんの中には

まだ不安を抱えている人もいるだろうから、

先ほど話していた“5人のBLVCKBERRYのビジョン”っていうのは

猟平からどう見えているものなのか聞いてもいい?

 

「僕の中のビジョンを明かすことがお客さんにとって

どれだけ価値があることなのかわからないし、

伝えすぎてネタバレみたくなってもよくないっていう大前提の上で、

 

一つ言えるはこれまでのBLVCKBERRYは

しっきーの持つ色が色濃く出ていたから、

ここから“更なるニュースタンダード”を

提示していける可能性はすごく広がったかな。」

 

−しっきーのジャッジする“かっこいい”の

レンジはかなり限られていたからね。

 

「そうそう。そうなるとプロデュース側から

サウンド/ルック/コンセプト/ライヴのテーマ/プロモーション

でも様々な提示をできるようになる。

 

例えるならこれまでは持ち球が

ストレートとフォークだけで攻めに攻めていたのが、

これからはカーブもスライダーも投げられるようになるというか。

 

でも、ここで大風呂敷を広げるよりモノで見せていく方がお客さんも

楽しめると思うからこれからゆっくり伝えていこうかと思ってる。」

 

−ある意味BLVCKBERRYの変革期なのかもしれないね。

 

「もし、今後お客さんのにとって

“こんなのBLVCKBERRYじゃないじゃん!”

と思えるものがあったとしても、

それすらもBLVCKBERRYとして楽しんでほしいな。

 

最初の頃のBLVCKBERRYがメンズアイドルの固定概念を覆して

“メンズアイドルらしくないじゃん!”と言われていたように、

 

今度は二年間かけて作った“BLVCKBERRYらしさ”

というものの固定概念を壊すというか。

 

それがBLVCKBERRYのスタイルだと思っているから。」

 

−BLVCKBERRYとして新しさを求めていく、と。

 

「そうだね。僕のアーティストとしてのモットーが

“変わらないために変わり続ける”なんだけど、

 

例えばサウンドが違うとか、

ルックが違うからBLVCKBERRYじゃないではなくて、

あらゆるものを提示し続けることがBLVCKBERRYの根底にあるもの。

 

だからこそBLVCKBERRYは“変わらないために変わり続ける”

ことを絶えず続けていくし、

その最中に好みに合うもの/合わないものあると思うけど、

それも含めてチャレンジし続ける

BLVCKBERRYを楽しんでほしいなと思ってます。」

 

−でも、まずは6人でのBLVCKBERRYを完遂させること。

 

「もちろん。8月14日のZepp Shinjukuまでは今まで以上に

6人のBLVCKBERRYを提示し続けるので、

6人で最高のツアーを約束します。」

BLVCKBERRY 2nd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR

「MASTERPIECE」

 

06/25(日) 神奈川・横浜MMブロンテ

07/01(土) 愛 知・名古屋HeartLand

07/05(水) 千 葉・柏DOMe

07/09(日) 東 京・渋谷GARRET

07/12(水) 北海道・札幌SPiCE

07/13(木) 北海道・札幌SPiCE

07/21(金) 福 岡・福岡INSA

07/29(土) 大 阪・大阪RUIDO

08/03(木) 宮 城・仙台ROCKATERIA

08/14(月) 東 京・Zepp Shinjuku

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